さて、こんばんは。本日から憲法を読んでいきましょう。
皆さんの記憶にはないかもしれませんが、実は私たちは義務教育でも憲法を学んでいるんです。
が、大人になった私たちの記憶に、憲法ってどんな感じで残っているのでしょうか。
「なんか、あったね、そんなの」
「どうでもいいし」
自由権とかあったよね」
「知る権利とかプライバシーの権利とか、なんか覚えてるかも・・」
こんな感じの人は多いのでは?
憲法が全く根付いていない、この日本。
こんな状況で改正なんぞしてしまったら、それこそ権力者(国)の思う壺ですよ。
文科省の教育が悪いのか・・・・私からみるとわざとやっているとしか思えないほどに、憲法教育がなされていません。
しょっぱなから核心に触れますよ。いいですか?
憲法とは「国家権力に歯止めをかけるもの」なのです。
つまり、国家権力からしてみると、下手に根付かないほうが、統治しやすい国家がつくれるのです。
時の為政者としては憲法なんか根付かずに、自分たちの思うがままに改正していきたいのです。

ではさっそく前文から見ていきますね。
憲法は全部で何条でした?調べた人はいないでしょうか?!
全部で103条。しかし、最後の章である第11章は「補則」でして、実質は99条です。
覚えましょう;憲法は全部で99条!
以外に少ないですね。
民法なんぞは全部で1044条、実際は枝番号のついた条文もあるのでもっとたくさんあります。
憲法はたったの99条です。
この99条の前には「前文」が書かれています。4段落にわかれています。それぞれを前文一段とか前文一項とか呼びます。
今日は前文の一段を読んでみましょう。
http://constitution.at.infoseek.co.jp/
そうそう、このHPで憲法の条文を見ることができますので、やるきのある方は訪ねてみてください。
物持ちのいい方は、中学校の公民の教科書でも開いてみましょう。
巻末に憲法の条文が載っているはずです。
さて、では前文一段を見てみます

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法はかかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

どうですか?なかなかに難しい日本語ですね。
主語は「日本国民は」
述語は?「代表者を通じて行動し」、「自由のもたらす恵沢を確保し」、「戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し」、「主権が国民に存することを宣言し」、「この憲法を確定する」ことでしょう。やることいっぱいあって日本国民も大変であります。
この一文目では、間接民主制や自由主義、平和主義などに触れた後、
ここに主権が国民に存することを宣言。すなわち「国民主権」をうたっています。
そうです、日本は国民主権、すなわち国を動かす主人公は国民なんですね。
政治家さんたちが国を動かすわけでも、天皇様が国政をなさるわけでも、総理大臣が好き勝手やるわけでもなく。
私たち一人ひとりが主人公、なわけです。
この、日本国憲法は1946年11月3日(文化の日ですね)に公布され、
半年後の1947年5月3日に施行されました。
その前は「大日本帝国憲法」というたいそう仰々しい名前の憲法がありました。
これはアジアではいち早く取り入れられたものでして、年号も1889年(いちはやく)と覚えやすくなっております。
明治憲法とも呼びます。仰々しい名前よりは好感が持てますので、ここでも明治憲法と呼んでいくことにしますね。
さて、この明治憲法は「天皇主権」
すなわち国を動かすのは天皇様、国民は天皇の赤子のようなものでありました。
しかし、現在は国民主権であります。
憲法は全部で11章あり、先程述べたように11章は補則であります。
よって憲法は全部で10章と思っておいてください。
覚えましょう;全部で10章。
その章立ては
1章;天皇 2章;戦争の放棄 3章;国民の権利及び義務
4章;国会 5章;内閣 6章;裁判所 
7章;財政 8章;地方自治 9章;改正 10章;最高法規
であります。一度に覚えるのは大変ですね。
まずは天皇です。
「えっ?なんで天皇主権じゃないんでしょ?どうしてトップバッターが天皇なの?」
思ったあなたはするどい!
1章では「天皇には権限やんないよーー、だって国民主権なんだもんねー」みたいなことが書いてあるのです。またおいおい読んでいきますが。
いきなり出鼻をくじかれる天皇
明治憲法への反省もあったのでしょうが、最初に天皇主権を思いっきり否定するところからはじまっているのですね。
さて、前文一段の二文目は
★そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。
これはアメリカ大統領リンカーンの有名な演説
「人民の、人民による、人民のための政治」のパクリでありましょう。
アメリカ合衆国の影響はこんなところにもあるのですね。
まっ、いい言葉だし。そして
★これは人類普遍の原理であり、この憲法はかかる原理に基くものである。
といっております。人類普遍の原理。すごいことになってますね。
これを人類普遍の原理におきたいという熱い思いを感じ取ってください。
そして、前文一段の最後
★われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
さて、この文、なんとなくふしぎではありませんか?
われらは、これに反する一切の「憲法」まで排除するといっています。
これは常識にして欲しいのですが憲法最高法規と言って、
ルール(法)のなかでトップに位置します。
つまり、世の中にはいろんなルールってありますよね。
法律(刑法なんかその典型)、条例、政令、校則、・・・
これらの法規の中でトップ。
すなわち法律も憲法には逆らえないのであります。
ありとあらゆる法は憲法に基づくのです。
これを難しい言葉で「最高法規」というのですが。
とにかく覚えましょう;憲法最高法規だ!!
(*^_^*)
この最高法規たる憲法が排除されると言っているのですから、けっこうビックリな文なわけですよ。
これを自然法主義とかいいまして、ようは憲法よりも上位の思想みたいなものはあるということです。今回は難しく考えずさらりと通っておきます。
では今日のまとめにもう一度読んでおきましょう
★日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法はかかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
ではまた次回お会いしましょう。次回は前文の第二項からです。お楽しみに!

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