眼鏡的冷戦

平穏が一番さ

夫はいま悩んでいる。
人生に、とかではなく。
眼鏡の度が合わないことに。
一年ほど前のことだろうか。
「おれ、眼鏡新しいのがほしいんやけど・・・」
おずおずと切り出す夫。
「ああ。そうやね。今度買いに行こっか?」
やさしい妻の私は、家計から「夫の眼鏡代」を出すことを快諾した。
視力検査に数十分、できあがるのに約2時間
それなりの時間と金をかけ
夫は新しい眼鏡をゲットした。
「おお!かっこいいばい!おれ!!」
自画自賛する夫に
私もうれしくなったものだった。
が、
そんな幸せは続きやしない。
1ヶ月か
2ヶ月か・・・
そのくらいたってのこと。
いつものように暴れていた私と夫。
「俺は悪くないばい!」
「お前が悪いにきまっとるやろ!いいから謝れ!」
「謝ることなんかないばい!」
「いつも結局謝るんだろうが!素直になれ!何度いわせるんだ!」
「いやばい!!」
いつものように暴れていた私と夫・・・
その時
床の眼鏡を
夫が踏みやがった!
哀れ眼鏡
短い命だった・・・
「おまえはーーーー!!!!!」
「眼鏡が!眼鏡が!!」
「てめえ!この前買ってやったばかりだろうが!!」
「眼鏡が!眼鏡が!!」
「ふざけんなよ!二度とお前には眼鏡買ってやらんきね!!」
と、
言うわけで
再び夫は古い眼鏡をかけ始めた。
なので、度はまったくあっていないのだ・・・・
「お願いだから眼鏡買って・・・」
「お前、壊すだろ?」
「この前のは事故ばい!いいから買ってくれよ」
「自腹で買えよ」
「こういうのは家計から出すことになっとるやんか?」
「お前、大事にせんきいやばい。」
「頼むから・・・」
「じゃあ。担保いれろよ」
「担保?」
と、いうわけで
私と夫の眼鏡をめぐる交渉が始まった・・・
「眼鏡買ってやってもいいけど、担保を入れろ。一年以内に壊したらその担保を没収して、代金に充当するき」
「はあ?」
「眼鏡代くらいのものを担保にいれろ」
「なんで、そんなもん入れなきゃなんないんだよ!」
「おまえなぁ。アイフルでもはじめは担保なしで金を貸してくれるかもしれないが、過去があるやつには無担保でかね貸すものはいねえんだよ!」
「・・・」
「お前には前科がある。担保いれんと買わんばい。いやなら自腹で買え!」
「・・・でも、何を担保に入れたらいいんだよ・・・」
「なんでもいいばい。もしもの場合に換金できて、かつ眼鏡代になるやつなら」
「・・・・」
と、いうことで
とあるものを担保にいれ、契約期間は一年間ということになった。
信用のない夫はつらいという教訓を学んでください。